あらゆる投資がそうであるように、不動産投資にもリスクがあります。
しかしながら、リスクに対して
- どんな性質の
- どんな種類の
リスクがあるのか、網羅的に把握するのは、なかなか難しいものですよね。
今回は、不動産投資におけるリスクを、網羅的に洗い出して、徹底解説します。
不動産投資のリスクは大きく5種類
不動産投資におけるリスクは、大きく分けて5種類あります。
- 物件のリスク
- 土地のリスク
- 経営のリスク
- 人間のリスク
- 人口のリスク
の、5種類です。
これらの5種類のリスクは、さらに細かく12種類に分類されます。
1種類ずつ、見ていきましょう。
不動産投資の「物件リスク」は、3種類
不動産投資の物件リスクは
- 物件の破壊
- 物件の劣化
- 物件の建築ミス
の3種類に、大きく分類されます。
もう少し簡単に言ってしまうと
- 物件がちゃんと建ったのか
- ちゃんと建った物件が、いきなり壊れる
- ちゃんと建った物件が、ゆっくり壊れる
の3種類です。
1、物件の破壊リスク
1種類めの「物件の破壊リスク」は、ちゃんと建った物件が何かしらの理由でいきなり壊れてしまうリスクの事です。
具体的には
- 地震
- 雷
- 火事
- 台風
- 水害
など。ほとんどが自然災害です。
中には、例えば車が突っ込んできて物件が破損したとか、そういう稀な例もありますが、確率論から言うと無視できるレベルです。
2、物件の劣化リスク
2種類めの「物件の劣化リスク」は、1つめに比べるとゆっくり起こる物件の破壊です。
具体的には
- 配管の劣化
- 給湯器の劣化
- 外壁塗装の劣化
- 屋上防水の劣化
- 外壁のクラック
- 漏水
- 爆裂現象
などです。
物件も時間経過と共に消耗していきますから、定期的にメンテナンスを行う必要があります。
水道管などの配管はもちろん、外壁や屋上などの外回りも、太陽光と雨風で劣化します。
外壁にクラックがある場合、そのクラックから水が染み込み、内部を腐食させる可能性があります。
鉄筋コンクリートの場合、コンクリートのクラックから水が染み込み、内部の鉄筋部分に到達すると、鉄を錆びさせ、体積が膨張する事でボコッと膨れ上がる「爆裂現象」が起こる事があります。これは深刻な事態です。
内装など「目に見える部分」は、入居募集にダイレクトに影響してくるため、比較的メンテナンスが行き届くはずです。
しかしそうでない部分の劣化に関しては、なかなか感知して適切にメンテナンスを行う、という事ができていない場合があります。
これらの劣化リスクの恐ろしいのは、時間経過が非常にゆっくりで、気がつきにくいという事です。
物件劣化リスクに対応するには、リスクが顕在化する前に対処し始める事が必要です。
3、物件の建築ミス
3種類めは物件そのものが、何らかのミスを抱えた状態でいるリスクです。
具体的には
- 違法建築
- 施工不良
の2種類のリスクが存在します。
違法建築とは、法律で定められた建ぺい率、容積率などの条件を満たしていないなど、建築基準法をクリアしていない物件の事です。
違法建築の問題は、融資がおりない事が問題です。
購入してみて違法建築だった場合、次に買う人が融資が出なくなってしまうため、物件を売る事が難しくなってしまいます。
こういったケースは、現金一括購入で起こり得るので、注意しましょう。
施工不良とは、法律上は違法建築ではないものの、住居としての快適性を著しく欠いているような建物の状態の事です。
賃貸経営上は、どちらかといえば施工不良の方が問題は深刻です。
なぜならば
- 換気が悪くすぐにカビが生える
- 隣の部屋との壁が薄く、生活音が丸聞こえ
など、入居者からのクレームへと直接つながるからです。
結果的に経営リスクへと発展してしまいます。
不動産投資の「土地リスク」は、2種類
不動産投資の土地リスクは
- 土地の汚染
- 文化財出土
の2種類に分類できます。
1、土地の汚染リスク
土地の汚染リスクとは、例えば
- 原子力発電所
- 化学工場
などが近隣にあり、放射線や化学物質の漏洩などにより土壌が汚染するリスクのことです。
多くの場合、国や企業の補償があるはずですので、それほど気にしなくて良いでしょう。
しかしながら、何かあった時に晒されるのは「人間の健康」であるため、避けられるならば避けたいですよね。
2、文化財出土リスク
購入した物件を売却する際、文化財が埋まっているリスクが高い場合、うまく売却できないリスクがあります。
土地に建物を建てる時に、遺跡やそれに準ずる物が出土した際、調査をしなければならない文化財保護法という法律があるからです。
調査費用もかかりますし、どれくらいの期間で調査が終了するのか不明です。
これは大きなリスクですよね。
近くに遺跡があるとか、そういう土地を購入する際には気をつけましょう。
不動産投資の「経営リスク」は、3種類
不動産投資の経営リスクは
- 金利上昇
- 家賃減少
- 突発的な修繕
の3種類に分類できます。
1、金利上昇リスク
不動産投資と金利は切っても切れない関係にあります。
金利が低ければ、当然同じ利回りの不動産でも、有利です。
逆に金利が高ければ、不動産投資は不利になります。
金利の上昇リスクを考えなければいけないのは、不動産投資を低金利で始めた場合です。
よく
不動産投資はインフレに強いから、金利が上がっても大丈夫
という意見があります。
確かに、金利が上昇する時というのはインフレが誘導されている時ですので、不動産の価値も上がります。
家賃も上がります。
しかしながら、すぐに家賃を値上げするのは難しいのです。
契約期間中に不当な家賃の値上げはできないよう、法律で決められています。
一時的に金利上昇により、資金繰りが悪化するリスクは、常にあります。
もちろん時間が経過すれば、金利に追いつくように家賃が上がるはずですので、長い目で見れば金利上昇は大きなリスクではありません。
2、家賃減少リスク
家賃減少により、インカムゲインが現象してしまうリスクです。
具体的には
- 物件の劣化
- 競合物件の増加
- 人口の減少
などにより、家賃減少は引き起こされます。
3、突発的な修繕リスク
不動産投資に突発的な修繕リスクはつきものです。
具体的には
- 退去に伴う内装リフォーム
- 共用部分の破損
- 漏水や配管の破損
など、基本的に「すぐに対応しなければ入居者の不利益を被る」修繕で、かつ必要資金が大きい修繕は、経営上の大きなリスクです。
いきなり数十万、数百万が瞬時に必要になる場合もあります。
不動産投資の「人間リスク」は、2種類
不動産投資の人間リスクは
- 入居者の人間性
- 物件周辺の人間性
の2種類に分類できます。
1、入居者の人間性リスク
入居者の人間性が悪い、不良入居者によるリスクです。
具体的には
- 騒音
- 家賃滞納
- 共用部分の汚損
などです。
家賃滞納や共用部分の汚損は経営上のリスクにつながりますし、ひどい場合は物件が破壊され物件リスクへと派生してしまう可能性があります。
何と言っても、善良な他の入居者にとって迷惑をかけるのは、大変申し訳ないですね。
善良な既存入居者が出ていってしまうと、さらなる経営上のリスクにも発展します。
2、周辺居住者の人間性リスク
不動産投資の金言で
立地は後から変えられない
という金言がありますが、同時に周辺の居住者の性質も、自分のコントロール外になります。
例えば周辺に不良居住者がいて、夜中の騒音が激しいとします。
保有物件の入居者は全員善良で、物件にも何の問題も無いにも関わらず、保有物件の入居付が難しくなり、経営上のリスクへと発展してしまうでしょう。
不動産投資の「人口リスク」は、2種類
不動産投資の人口リスクは
- 人口減少
- 人口性質変化
の2種類に分類できます。
1、人口減少リスク
人口減少リスクは、不動産投資をしていない方もご存知だと思います。
しかし、ただ一辺倒に
- 人口減少=不動産投資は危険
と捉えるのは、間違いです。
なぜならば
- 一部では人口増加が見込まれる地域も存在
- 人口は減少しても、世帯数は維持〜微減
だからです。
特に、核家族や女性の社会進出、晩婚化などにより、人口は既に減少に転じている日本ですが、世帯数は増加傾向にあります。
2、人口性質変化リスク
人口性質変化リスクとは、人口は変わらなくても、その性質が変化する事で、居住スタイルが変化するリスクです。
求めれられる賃貸物件の種類が変化します。
結論から言えば、これからの日本では単身者向けのニーズの割合が増加(高齢者含む)し、ファミリー物件の需要が減少します。
ただでさえ人口が減る中で、ファミリー物件は需要割合さえ減ってしまうわけです。
一気にファミリー向け物件の需要は、冷え込む事になるでしょう。
不動産投資の12種類リスク
いかがでしたでしょうか。
まとめると、不動産投資には、大きく分けて5種類のリスクが存在します。
- 物件のリスク
- 土地のリスク
- 経営のリスク
- 人間のリスク
- 人口のリスク
の5種類です。
これらを細かく分けると、12種類のリスクがあります。
- 物件の破壊
- 物件の劣化
- 物件の建築ミス
- 土地の汚染
- 文化財出土
- 金利上昇
- 家賃減少
- 突発的な修繕
- 入居者の人間性
- 物件周辺の人間性
- 人口減少
- 人口性質変化
の12種類です。
次は、リスクにどう対応すれば良いのか、という話をしましょう。
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